ゾディアック
実際の殺人事件を元にした映画。たぶん、想像でしか作れないシーンを除けば、ほとんどノンフィクションと言ってもいいくらいの内容だと思う。
全ての登場人物が実在の人。主人公自身がこの映画の原作者。
監督はデビッド・フィンチャー。この人はとにかく「セブン」で有名。あまりに衝撃的で面白い映画だったから。
「セブン」には、頭が良くて、自己顕示欲が強い、イカレた殺人鬼が出てくるが、まさにこういうタイプの殺人者のモデルになったのが、ゾディアック。
ゾディアックはまだつかまっていない。捜査中の未解決事件。
自分からゾディアックと名乗ったり、犯行声明文と暗号文を新聞社に送りつけ、それを第一面に掲載しなければ大量殺人をすると脅したりした。こういうのを「劇場型殺人」というらしい。
ゾディアックをまねた殺人事件もたくさん起こった。日本の酒鬼薔薇聖斗とかもそうだ。
この映画は、言わば推理ものの、「問題編」「解決編」の、「問題編」だけでできている。原作者(主人公)は、調べ上げたこと、体験したこと、全てをさらけ出し、観客(読者)に、「さあ、謎を解いて見せてくれ」と挑発しているような感じがする。
この映画を観たあと、真犯人は誰か、なぜ事実の辻褄が合わないのか、考えずにはいられなくなる。証拠や情報が皆無なわけではない。むしろたくさんありすぎるくらいだ。そして、少し考えれば答えが出そうな気もする。そこが怖い。誰もが、そうやってゾディアックの謎の虜になっていく。
この映画では、ゾディアックに深く関わった4人の人物(主人公=原作者を含む)が、そうやって人生を狂わせていくさまが克明に描かれた。
「気狂いの世界」に踏み込んだ人間が、徐々に自分までも「気狂い」に侵されていく。そういう怖さがある。
ところで、主人公がどっかで見た事ある気がするなあ、と思っていたら、「寄生獣」に出てくる私立探偵の倉森だと気づいた。
それだけじゃなく、なんとなくデビッド・フィンチャーと寄生獣の作者である岩明均もだぶって見えてしまった。
フィンチャーは「セブン」のあと、「ゲーム」「ファイト・クラブ」「パニックルーム」などを作ったが、どうも「セブン」ができすぎてたせいか、微妙に期待を外す。面白くないわけではなくて、むしろ監督が本当に真摯に「自分の映画」を作っていることに感銘すら受けるわけだけど、どうしても「セブン」の前には霞む。
岩明均も、「寄生獣」があまりに出来すぎた作品だったからか、以後の作品がどうも霞んで見えてしまう。でもやっぱり真摯に真面目に、変な風に流行りや他の人の作品に影響受けることなく、たんたんと「自分の漫画」を描いている。
どっちの作品も、もうちょっと歳とってから観たら、今よりももっと面白く感じれるのかもしれない。
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